遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
公正証書遺言については、公証人が作成するため、その記載内容に
不備があるという心配は少ないと考えられますが、自筆証書遺言と
秘密証書遺言については、基本的に遺言者が自ら記載することになるため、
その記載内容には十分に注意を払い必要があります。
単に「○○銀行の預金」としただけでは、○○銀行に他の口座があるかも
| 良い例 | ○○銀行××支店 口座番号123456 |
| 悪い例 | ○○銀行の預金 |
これも、預金と同様に、「霞が関の土地」と書いただけでは、他の土地と
区別がつかない可能性がありますから、不動産登記事項証明書をみながら、
記載してください。
良い例
所在 東京都千代田区霞が関
番地 1番1
地目 宅地
地積 100.00㎡
悪い例
霞が関の土地
「株式」だけでは、複数の銘柄を保有していた場合に、どれを指すのか
分かりませんから、発行会社名を記載しておく必要があります。また、
株式数も明記してください。
良い例
○○株式会社発行の株式 10,000株
悪い例
株
ゴルフ会員権については、預託金額の異なるもの等、複数の種類がある
場合があるので、証券番号まで記載しておいた方がよいでしょう。
良い例
○○ゴルフ株式会社 預託金ゴルフ会員権(証券番号○○○○)
悪い例
ゴルフ会員権
この他にも、動産など様々な財産が考えらえますが、基本的には先の例と
同様、他のものとの混合が生じないように特定する必要があります。
もちろん、財産が明確に特定されていないからといって、遺言自体が
直ちに無効になるというわけではありません。
その場合には、記載されている内容から遺言者の意思を解釈し、
妥当な結論を導くわけですが、その解釈をめぐり、相続人間で
争いになることも多々あります。
また、例え無効でなかったとしても、内容が不明瞭ゆえに、手続き先が
手続きを拒否することがよくあります。
また、相続財産のすべてを遺言書に記載できるとは限りません。
遺言書作成の後に新たに財産が生じることもあるでしょうし、
遺言書作成時に忘れている財産もあるかもしれません。
そこで、遺言書に記載されていない財産をどのように相続するかについて、
相続時に争いとなることがないよう、「上記に列挙するもの以外の
財産については、○○に相続させる」などとして、漏れなく相続財産に
ついて記載しておいた方がよいでしょう。
日常生活では物を譲渡する場合、「あげる」や「譲る」などの表現を
用いますが、遺言でも同様に「長男にあげる」、「長女に譲る」といった
表現を用いた場合、その法律的な意味については必ずしも明確ではありません。
この場合には、「相続させる」という文言を使っておくと、遺言により財産を
受取る人が法定相続人であれば、単独で相続財産の移転登記ができるなどの
メリットがありますので、「相続させる」と記載するのが一般的です。
法定相続人以外に譲る場合には「遺贈する」と記載することになります。