成年後見制度が実施されたのは、2000年4月からですが、実はそれまでにも、
「成年後見制度」の前身として、「禁治産」「準禁治産」という制度がありました。
ところが両制度は、「治産」を「禁」ずるというその名前をはじめとして、
多くの人のなかに根強い抵抗感があったと言えます。
とくに、禁治産や準禁治産の宣告を受けるとその事実が戸籍に記載されるため、
社会体面上よくないからということで、本人だけでなく親類縁者にも敬遠されるなどして、
あまり利用されずにいました。
その結果、わが国では認知症など痴呆症の高齢者が百数十万人もいると言われる
のですが、禁治産や準禁治産の宣告件数は、年間で2000~3000件程度しか
ありませんでした。
しかも、利用されるときには、資産家の子どもたちが遺産相続を自分に有利に
行おうとするなど、相続争いを先取りするために使われるようなことさえ見られました。
一方でわが国では社会の高齢化が急速に進行中で、現在65歳以上の人が
総人口に占める割合はほぼ20%を占めています。
さらに今世紀半ばには、3人に一人が65歳以上という、超高齢化社会の到来が
確実視されているのです。
このような急速な高齢化が進むとともに、判断能力の不十分な高齢者が
悪徳商法の被害を受けることなどが増えており、そうした人を法的に保護し
支援するための新しい制度を早急に整備する必要性が叫ばれるようになりました。
そんな声に応えようとしてできたのが、この成年後見制度です。
新制度をつくる際のポイントになったのは、高齢者や障害者も地域のなかで
健常者と同じように生活できることが当たり前な社会をつくろうという
「ノーマライゼーション」の考え方や、一方的に制度を押しつけるのではなく、
自分のことはできるだけ自分で決められるよう手助けする「自己決定権を尊重した」
制度にしようという点です。